2023.01.15

EARTH LABEL INTERVIEW | VOL.01 EARTH LABEL代表 菊地紋子さん インタビュー

 

 

EARTH LABEL代表 菊地紋子さん インタビュー

今回は、EARTH LABELのボードメンバーであり、エシカル・コンシェルジュでもある菊地紋子氏にインタビューを行いました。

 

 

EARTH LABEL(以下EL):まず、エシカル・コンシェルジュについてお聞かせください。

 

 

菊地:エシカル・コンシェルジュは、一般社団法人エシカル協会が認定する資格です。

エシカル協会が掲げる「エシカル」とは、“人・社会・地球環境への配慮という観点からの「倫理的」という意味であり、人間中心主義的又は経済成長至上主義的な価値観を見直さなければならないという考え方を土台にしています。エシカルな消費行動やライフスタイルを広く普及していくことで、消費者や生産者がエシカルな行動を当たり前のこととして実践できる社会の形成に貢献することを目的として”講座や講演を行い、そのネットワークを活かして様々な啓蒙活動をしています。

 

講座を通してフェアトレード、オーガニック、サステナビリティ 、動物福祉、リサイクル、環境再生型農業、自然エネルギー、エシカル金融、SDGsなど様々な分野でのエシカルな考え方を学び、気候危機、人権侵害、児童労働、貧困問題、生物多様性の損失など、あらゆる社会課題と向き合い、改善に繋げるために、暮らしの中の些細なことから行動起こすのがエシカル・コンシェルジュの役わりです。

 

 

EL:資格を取ろうと思ったきっかけは?

 

 

菊地:この資格を取ったのは、たまたま目にした協会代表の末吉里花さんのコラムを読んで、初めて「エシカル消費」と言う言葉に出会ったのがきっかけでした。

度々報道などで見るどこかの国の環境破壊、労働搾取や児童労働の問題など、とても酷いと思っていたことに自分が「買う」という行為を通じて加担しているかもしれないと気付かせてもらいました。

 

そして、もっと知りたいという気持ちでエシカル協会のHPをみたら講座があることを知り気が付いたら申込んでいました笑

「エシカル消費」とは、「誰かの笑顔に繋がる未来の為の買い物」です。

学び始めて直ぐ、エシカルとは「エいきょうを シっかり カんがえル」ことと言われ、私の中にストンと落ちました。

 

 

EL:「影響をしっかり考える」で「エシカル」。なるほど。いま消費行動において最も求められる重要なポイントですね。

 

 

菊地:はい。例えば、毎日している消費活動にエシカルな視点をプラスすると社会に変化を及ぼすインパクトは絶大なものになる可能性があります。人は政治家も経営者もサラリーマンも主婦も学生も立場は関係なく誰もが消費者です。

 

消費者が日常の買い物で、便利・美味しい・安いだけの基準ではなく、地産地消・環境資源を守る・弱い立場で生きる人々を支えるなどに配慮した選択をするようになれば、作る側は地域貢献・CO2削減・資源や水源の管理・人権を尊重した取引・使う人の思いに寄り添うことなどを重要視して、結果人々の暮らしや社会がより良くなります。

 

 

EL:そのようなマインドをどうすれば、より多くの人へ浸透させることができるとお考えでしょう?

 

 

菊地:大多数の消費者がエシカルな価値を求めるようになったら、提供する側もエシカルな商品やサービスを作るように変わる…そう考えるとどうでしょう。世界中が抱えている解決困難と思われる問題が、できるかも?!と思えてきませんか?

 

世界規模の問題に、自分ひとりでは太刀打ちできません。でも世界はひとりひとりの集合体で、

自分ひとりくらい何もしなくて良いという人が多ければ悪くもなるし、世界の一部として手を繋ぎ合えば良くもできる。

私たちの未来はひとりひとりの選択に委ねられているのです。

そして、これは誰でも今日から直ぐに出来るアクションであることが最大の魅力です。

 

でも、今は未だエシカルな商品やサービスは高額なことも多く、日々の消費の全てをエシカルにすることは難しいです。ひとりで頑張る必要はなくて、自分が出来なくても何か感じて想いに至った時にその気持ちを隣の誰かとシェアしたりするとか。

大事なのは、その気持ちが途絶えることなく皆んなの中にあり続け、世界中で大きな波となること。

「世界中で目指す=自分も目指す」

そう考える人がどんどん増えて、皆んなで未来を創れれば良いなと思います。

 

 

EL:サステナブルやSDGs など国際的な社会課題が取り沙汰される中、特にどんな課題意識がありますか?

 

 

 

 

菊地:SDGsの17のゴールとそのターゲットを見れば、気候危機、人権侵害、児童労働、貧困問題、生物多様性の損失など、世界が抱えている問題は明らかですが、各問題の相関性はとても複雑です。ひとつの問題をクリアするには包括的な視点で相乗作用を追求しながら総合的なアプローチをすることが求められます。

 

そんな中、気候変動対策についてのイメージ調査では興味深い結果となりました。世界の多くの人が「生活の質を高める」と回答したのに対し、日本人は「生活の質を脅かす」(温暖化対策=我慢、負担)とネガティブに思う人が最も多いそうです。

しかしながら、日本人には古くからおかげさま、おたがいさま、もったいないなどの精神性を持っているのも事実です。

私は、日本人には本来エシカルマインドを実践し世界に伝える力があると信じています。

 

 

EL:なるほど。日本人の培ってきた慣習や文化とエシカルやサステナブルなマインドとの強い親和性があるということですね。それは面白い視点ですね。

 

 

菊地:先進国では最近やっと気候危機を人権問題と認め、責任を果たしていくという動きが出てきましたね。

2022年11/20にエジプトでのCOP27が閉幕しましたが、長年途上国が求めてきた地球温暖化による「損失と被害」を支援する基金の創設がようやく合意されました。

 

2021年に世界の科学者達によるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)で地球温暖化が人間活動によるものであることは「疑う余地がない」と初めて断定されたことや、洪水で国土の1/3が冠水したパキスタンの首相が「我が国のCO2の排出は非常に少ないのに壊滅的な洪水が起きたのは人災だ」と訴えたことも後押しになったと思います。

 

しかし、この国連人権理事会の決議は理事国47か国のうち43か国が賛成、4カ国が棄権。この棄権した4か国はロシア、中国、インド、そして日本です。日本の棄権の背景については恐らく「環境問題による人権問題は対象となるものの幅が広く、国の責任が広がっていく可能性を懸念したのでは」という指摘をする方がいます。

 

 

EL:先ほどの日本人のアイデンティティとの親和性とは結果的に相反することになっていますね。

 

 

菊地:繰り返しになりますが、誰かが頑張って対策を講じれば良いということではなくて、各国がそれぞれ相応な責務を果たして初めて、被害を最小限に抑える、または止めることができるということです。

 

そうした流れの中で日本が自国のリスクヘッジの為に抵抗勢力となっていることは、世界に対して申し訳なく、恥ずべきことであり、先進国の名を返上した方が良いのではないかと思います。日本にとっても、政府がこのような認識で人権や気候変動への取り組みがなされると、対応が非常に遅くなります。

 

自分もいつか環境による人権侵害の当事者になるかもしれない。または、自分の子供達の世代がそうなるかもしれない。それよりも、今まさに生命の危機にさらされてるような脆弱な地域に住む人々に想いを寄せることが出来るのかが問われていると思います。

何度でも言いたいのは、一人一人が共感し手を繋ぎあえば、国や社会、世界を変える力になるということ。

 

 

EL:ご自身のエシカル消費やライフスタイルの中でのサステナビリティな行動について実践していることは?

 

 

菊地:消費に大きく関わるもうひとつの問題がゴミ。”家庭ごみ”をなるべく出さない・ごみにしないように心掛けています。

最近はマイバッグ・マイボトル・マイカトラリーなど実践している人も増えていますね。

ゴミになる物を家庭に持ち込まないのはとても有効的です。

 

また、容器や梱包材を減らす買い方もあります。再利用可能な容器の物を買ったり、容器の回収システムを導入しているスーパーマーケットも増えています。アパレル業界の通信販売では店舗受け取りが出来るメーカーも多く梱包材などの無駄を省くことができます。

どうしても出てしまう生ゴミも野菜は皮付きで調理したり、しっかり乾かしたり水分を切って捨てるひと手間で焼却エネルギーを削減出来ます。

他にも買う時のちょっとした意識改革や捨てる前にリユースやリサイクルしてみるなど、ゴミの量を減らすテクニックは沢山あります。

自分のライフスタイルに合ったアイデアや工夫を見つけて欲しいです。

 

 

EL:身近なものでも見聞きしたものでも構いませんが、良いなと思った活動はありますか?

 

 

菊地:最近、あきる野市にある「Syncs.Lab」という畑に通うことが日曜日の楽しみのひとつです。農的循環型ファッションブランドのSyncs.Earthの運営する自然農園で、菌が服を分解したものを微生物が食べて土に還すという壮大なストーリーを目の当たりにすることが出来ます。運が良ければたったの2週間で!?日々、生態系を壊さずに循環させるための実験や研究を行いより良い土壌づくりを目指しています。そしてこの土壌で育つ野菜の美味しいこと。ここへ来て自然の恵みをいただき、自然と共生することの楽しさを実感しています。

 

 

 

もうひとつ、「クライメイトクロック」の若者たちが牽引するアクションも素晴らしいと思いました。

気候変動の悪化が後戻りできなくなってしまうポイントと言われる1.5度の気温上昇がもう目前まできている事をご存知でしょうか。昨年、20歳前後の若者四人が、気候変動アクティビスト集団a(n)actionを結成。

 

クラウドファンディングを成功させClimate Clockを日本初、渋谷に設置し、気候変動対策の緊急性を伝え、より多くの市民のアクションに繋げて政府・企業・自治体・学校・メディアなどの各分野にアクションを喚起するためのプロジェクトを立ち上げました。若者たちにとっては、自分たちが大人になる前に未来を絶望するかもしれない緊急事態です。自らそうさせない為に立ち上がった彼らは希望だし、私も応援しています。

 

 

EL:EARTH LABEL では、どのような目的やビジョンを持って活動していきますか?

 

 

菊地:人、社会、環境に配慮することが中心にある活動をします。

われわれボードメンバーは、それこそ皆、違うビジネスを土台に活動しています。ただ、サステナビリティであれエシカルであれ、「未来の地球を良くする」という共通のテーマを掲げてコミットメントする場であることに大きな意味があります。

 

大切なのは、メンバーはビジネスパートナーではなく、共感者であるということ。

「IT」であったり「デザイン」であったり「マーケティング」であったり、

それぞれのメンバーが培ってきた「コミュニケーション」や「ホスピタリティ」のスキルや経験が、利益や単なる経済活動の枠を超えたひとつの目的に向かって融合することは素晴らしい試みだと思っています。

 

私たちの商品やサービスを受け取った人がサステナブルな選択をし易くなるきっかけになれば最高に嬉しいです。

ひとりでも多くの人に伝えて、共感し合って、誰かを笑顔にできたら良いな。

 

 

EL:だだいま進行中のプロジェクトについて、少しお聞かせください。

 

 

菊地:いくつかのプロジェクトを進行していますが、フードロスの課題解決やいかにゴミを減らすか、また、地域でのコミュニティや雇用創出を視野に入れたプロダクト開発を現在進めています。社会課題を目指すこのようなテーマは、それぞれの立場を尊重して進める難しさもあります。生産者の立場、消費者の立場、マーケットでの影響力など。

とことん話し合って(全員が意見を発言して)、押し付けるのではなく、歩み寄る努力も重要だなと感じました。

 

近々プロダクトについて情報をローンチできる機会が来ると思いますが、廃棄果物や野菜に付加価値をつけたプロダクトを販売します。パッケージやスキームにもサステナブルの要素にこだわることで苦労もありましたが、まずは私たちの活動を知ってもらえる足がかりになればと思っています。

EARTH LABELのWEBサイトでも発信していきますので、ぜひ楽しみにしていてください。

 

 

EL:ありがとうございます。最後になりますがひとことお願いします。

 

 

菊地:われわれメンバーだけでなく、EARTH LABEL を介して、「〇〇で地球をよくしたい」「〇〇〇のチカラで未来を良くしたい」そんな同じ志を持った多くの人たちに活動が波及し、「競争」ではなく「共創」できるネットワークが広がれば嬉しいです!

 

 

 

 

 

(参照)
一般社団法人エシカル協会 https://ethicaljapan.org
Syncs.Lab https://syncs-earth.com/pages/syncs-lab
a(n)action https://shibuya-culture-scramble.com/article/16231/

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